人間 『どうかしました?』
妖怪 『この茶釜を見ていたら気持ちが、何というか… 』
人間 『気持ちがどうなるんです?』
妖怪 『そうですね… 気持ちがぶんぶくします。』
人間 『ぶんぶく? 面白いことを言う方ねぇ。その頭の葉っぱも面白いけど。』
人間を観察し変身術に磨きをかけるためお茶を習い始めた狸娘でした。
狸のお姉さん、最近字を習い始めてなかなか上達してきました。
『(だめよ!だめだめ、人間に惚れちゃだめ!)』
『(ああ先生、あなたはどうして先生なの?そして 私はどうして狸なのかしら。先生… 先生…それは先生… )』
狸娘 『お母さん、どうして人間を好きになっちゃいけないの?』
狸『… … 』
狸娘『あらいけない、これはただの狸さんだったわ。親を間違えるだなんて… これが恋の病というものかしら。』
娘『お父さんお母さん、なんで狸が人間を好きになっちゃいけないの?』
父『まさかおまえ人間と… どこのどいつだゆるさん!』
娘『違うの、私、片思いなの… 』
父『…そうか、とりあえずどんな人間か父さんが見てこよう。まあ人間なんかに惚れてもろくなことにはならんがな、…なあ母さん。』
母『あんたこどもの前で余計なことを言うんじゃないよ。』
父『あれは!… どうやらおまえの手習い師匠は人間ではないようだな。』
娘『そんな!どうしてわかるの?』
父『妖怪は食べ物を食らうときに本性が現れるものなのだ。むむむ、おそらくあれは狐だな?』
娘『どうして狐なの?』
父『お揚げさんをあれほど美味しそうに食べる妖怪は狐しかいない!』
娘『そんな理由?』
父『まずい、気づかれたぞ!』
先生『バレては仕方がない、コンコンココンの最強戦闘モードで変身!』
狸娘『先生、…狐でもやっぱり、カッコいいわ!』
父『よくもうちの娘をたぶらかしてくれたな!こうなったらこちらも、ぽんぽこぽぽぽんの最強戦闘モードで変身!』
娘『お父さんまたたまたまが!だからいやなの狸のおとこは!』
狐先生『妖怪とは言え年頃の娘さんがいると大変ですね、お父さん。』
狸父『いやまったく困ったもんですな、先生。』
狸娘『お母さん、あの二人なんで仲良くなってるの?』
狸母『なんかよく分からないんだけど、戦ってる間に気が合ったみたいねぇ。』
《終わり》
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