姉『あんた狸の娘と付き合ってるんだって?そこらじゅうの噂だよ。』
弟『姉さん違うんだよ、あの娘さんは手習い塾の教え子で…色々あって家まで行ったりしたけどお付き合いしているわけじゃないんだよ。』
姉『そうかい、ならいいけど、そう言や いいなづけのお玉ちゃんが相当怒ってるらしいよ。』
弟『えっ!そんな… 』
お玉ちゃんが相当怒っているという話は本当のようです。
平安の世にその名を轟かせた妖狐 玉藻前の末裔と言われるお玉ちゃんの貴重な変身途中(人間→最強戦闘モード)のシーンです。
お玉『日本橋の超高級お揚げ三枚であなたの過ちが許されるとでも思ったの? 私を本気で怒らせたわね弥太郎さん… 』
狸娘『待ってお玉さん!』
お玉『狸娘が何の用だ!巨大たまたまも無い女狸が私を倒せるとでも思ってるのか?』
狸娘『違うのお玉さん!私と先生は本当になんでもないの、わたしが勝手に好きになっただけ。先生は少しも私になんか興味ないのよ。(残念だけど)』
お玉『本当なの弥太郎さん?… そう… すべて私の誤解だったってことね。わかったわ、それにしてもあなた、なかなか勇気のある狸さんね。これからおいしいきつねうどんとお稲荷さんをごちそうするから家に来ない? 弥太郎さんも来るわよね、たまにはお父様にも会って欲しいし。』
狐先生『あ、ああ… そうだね… 』
お玉の父は、妖怪格闘選手権大会で連覇した猛者、九尾の才右衛門である。
お玉『江戸の町も好きだけど、やっぱりこんな場所が落ち着くのよね。』
狸娘『はい私もです。 あの、さっきはおいしいきつねうどんとお稲荷さんありがとうございました。』
お玉『本当においしかった? 狐の好物が狸の口に合うなんてうれしいわ。また遊びにいらっしゃいね。』
狸娘『はい、ありがとうございますお玉さん。』
お玉『あらいけない、狸さん、あなたのお名前まだ聞いてなかったわね。』
変身は二人とも里山通常モードです。
狸娘の方は多少気持ちが複雑ながらも、仲良くなってまずはめでたしとしましょう。
《終わり》
ほかの物語は一覧に戻ってからご覧ください。