※鬼ノリカの顔が最初と最後でぜんぜん違ってますがご容赦ください😆
さて、またここから訳のわからない物語が始まります。
からす妹『ちょっと姉さん!』
からす姉『なんだい騒々しいねえ、 言っとくけど今度のツノの件はあたしじゃないよ。』
妹『え?』
姉『あたしも困ってるのさ、見てよこれ… さほど悪さはしないみたいだけど、ぜんぜん言うことを聞かなくなっちまったよ。』
妹『姉さんが人間たちを困らせるためにやったんじゃなかったんだ。(いつも似たようなことしてるけど… ) 』
姉『まぁこんないたずら誰の仕業か想像はつくけど… それにしても何でいまこんなことをしたのかしらね… よし、出かけるよ!』
妹『まだなの?姉さん。』
姉『もうすぐ。そろそろ変身するよ。』
姉『ちょっとその頭、ちゃんとしなさいよ。手下にでも感づかれたらやっかいだよ。』
『おや?お客さんみたいだねぇ。』
鬼『いらっしゃい。』
からす姉『やっぱり鬼のしわざ。しかもこんないたずらをするのは一人しかいないと思ったわ。』
鬼『ふふっ…思ってたより早く来たのね。そっちは妹?』
妹『(なにこの二人、知り合いなの?) ちょっとあなた!江戸を大混乱させて何が狙いなの?』
姉『いや、江戸の混乱は別にいいとして、私の召使いまで使い物にならなくするなんて、ただの悪戯ではすまないわよ!』
妹『(やっぱり姉さんはそこか… )』
鬼『まあ友達の家に来たばかりなんだから、そんなにせかさないでよ、黒亜。 』
妹『えっ… 友だちって、何それ!』
からす姉『なぜこんなことをしたか言いなさいよ!理由によってはただじゃおかないわよノリカ!』
からす妹『(ノリカ? 鬼ノリカ!)』
鬼『へえ…でも私と喧嘩して勝ったことがあったかしら? だいたいカラスと鬼が喧嘩してどっちが勝つかなんて、人間の子供でもわかりそうなことよねぇ。』
姉『昔のあんたならね。』
鬼『… なんだって?』
姉『今のノリカは妖気がかなり弱くなってる。病気?じゃなければ大量のツノを作るのに妖気を使いすぎたってとこかしら?』
鬼『なんだお見通しか… あたしね、地獄に戻ることになったの。』
妹『(地獄のノリカ!)』
鬼『親がえん魔さまに泣きついてあたしを探させてたんだって、100年もかけてこんな家出娘をだよ… それでこのあいだとうとう見つかって… まあ体に合わない地上にも疲れてたし、ちょうど年貢の納め時かなって。そしたら地獄に戻るまで時間がもうなくて、黒亜、あんたの居場所がわからなくなってたことに気づいて… 』
姉『え?まさかあんた、私を呼び出すために江戸中のいろんな物にツノをくっつけたの?』
鬼『…でもそれはもう大丈夫、今ごろツノはみんな取れてるはずだから。』
ひとだま『大変です!ノリカさま!』
鬼『どうしたのツノキチ、そんなにあわてて… 』
ノリカ『ツノキチ… なにも上野の大仏さまにまでツノを付けることはなかったわ。それにしても、ほかはもうみんな妖力が切れてツノが取れているのに大仏さまだけどうしたのかしら。』
からす妹『これじゃ江戸の町がめちゃくちゃになっちゃう。ノリカさーん!どうやったらこのツノ取れるのー?』
ノリカ『ツノのいちばん先を強く叩けば取れると思うわ!』
からす妹『わかったやってみる!』
ノリカ『黒亜しっかりして!… こうなったら、ここは鬼本来の力でなんとかするしかないようね。』
からす姉(黒亜)『だめよノリカ!いまのあなたの妖力のままで変身なんかしたら… よくないわ。』
ノリカ『大丈夫よ、心配しないで。』
からす姉(黒亜)『だからやめろって言ったのに… いまのノリカじゃ、巨大化変身なんかしたら腰巻き一枚分の妖力も残らないんだから。』
ノリカ『さあ、もう大仏殿に戻ってくださいな。(仏とは言っても煩悩はあるのね… )』
ノリカ『ちょうど地獄からの迎えが来たようだわ。』
黒亜『ずいぶん立派なお迎えね。』
ノリカ『実はね、帰ったらあたしお見合いなのよ。
閻魔さまの紹介で。』
黒亜『そう言えばあんた 閻魔さまの遠縁だったわね。』
ノリカ『じゃあね黒亜、いつまでも… 』
からす妹(黒葉)『町ももう落ち着いてきたわね。 ところで姉さん、昔ノリカさんとどこで知り合ったの? だいたいカラスと鬼が友だちだなんてどう考えてもありえない…とても興味があるわ。』
からす姉(黒亜)『まあそのうち話そうかしらね… 100年も昔の話だけど、でもとっても面白いのよ。フフッ…』
妹『もう…もったいぶって。あっ…お月さまが!』
姉『ただの… この世で最後の、ただの 鬼のいたずらよ。すぐに消えるわ。』
《終わり》
ほかの物語は一覧に戻ってからご覧ください。