『もう…人を呪うのはやめようかな』
【この二人が出会ってしまった】
月代姐さん『おさむさんの紹介で相談に来ただって?(おさむって誰だっけねえ…)悪いけどうちはよろず相談の看板なんか何処にも出してないし、だいたいあたしは面倒なことが嫌いで剣術の弟子だって今まで猫又一匹だけ……まぁ遠くからお土産まで持って来られちゃこのまま帰すわけにもいかないかねぇ。』
【この二人が出会ってしまった2】
月代『ううっ…そうかい、おみよさん…あんたも大変な苦労をしてきたんだねえ。でも人を呪うだなんて、そんなことはもう終わりにしないかい? 』
おみよ『あの…なっ何をするんですか!』
月代『そうだ、しばらくここで猫の世話でもしてみるといい。 笑い方を忘れたって言ったけど、そのうち思い出すかもしれないよ。』
おみよ『はあ…(新品だったのに…)』
【この二人が出会ってしまった3】
月代『どうしたんだいおみよさんこんな夜中に』
おみよ『すみません…丑の刻になると目が冴えてしまって…これから気をつけます。』
【ハチ登場】
月代『ハチ!ひさしぶりだねえ。どうしたんだい?』
ハチ『遅くなりやしたが、これ本所の親分から夏のご挨拶でやす。』
月代『そうかいありがとうね、さあ上がってゆっくりしていってくれ。でもどうしたんだいその傘、三度笠にしちゃずいぶんと不恰好だねぇ。フフッ…悪いけどなんか笑っちゃうよ。』
ハチ『何を言ってんでやすか師匠!これはいま町で大はやりの新式日傘というやつでやすよ!同じ江戸でもここは少し田舎でやすからね、師匠にはこの傘の良さがわからないんでやすよまったく!』
月代『あら! ハチ…あんたのおかげだよ。』
ハチ『なんでやすか?いきなり。』
月代『おまえを見ておみよが笑ったんだよ。あの娘ここに来てはじめて笑ったんだよハチ。』
ハチ『おみよさん? はあ…なんだかよくわかりやせんが、よかったみたいでやすね。(あんまりうれしくないでやすが)』
【ハチ登場2】
月代『よかったねおみよさん。』
おみよ『月代さんあたし…もうすこしここにいてもいいですか?』
月代『ああもちろん、おみよさんがいたいならずっといてもいいんだよ。それに笑ったと言ってもねえ、あのハチの日傘は特別だよ。あれじゃあ地獄の閻魔さまだって大笑いするよ。』
ハチ『師匠ひどいでやすよ!』
師匠『フフッ… あらいい匂い、これ天麩羅だね?うれしいよハチ。でもこれをいただく前に、どれくらい強くなったか少し稽古してみるかい?』
ハチ『へい、そのつもりでおりやした 師匠!』
【ハチ登場3】
月代『なんだって⁉︎ 今度は剣が伸びるのか!また強くなったじゃないかハチ… これじゃあ間合いも何もないねえ…よけるのが精一杯じゃないか、さあどうしたもんかねえ。』
ハチ『っ…』
月代『あれどうしたんだい?ハチもう終わりかい?』
ハチ『まいりやした師匠…』
月代『まだまだ若いねえハチ、剣術の稽古ばかりで人生修行が足りないんじゃないのかい?』
【おまけ1】
おみよ『月代さん…もうすこしここにいてもいいですか?』
月代『えっ?ええ、もちろんよ…(それあたしの!)』
【おまけ2】
おみよ『すみません。』
月代『ううん、いいのよ…(あたしの!)』
【中秋の名月】
おみよ『月代さん、お月見、なんかちょっと違う気がするんですけど。』
月代『こまかいことは気にしないの。』
おみよ『はい… 』
《終わり》
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