満月の夜の続き。
女『なんだ蝙蝠だったの… ずいぶん久しぶりね。』
男『このあたりちょっと懐かしくなって飛んでみたんだ。俺 いま東の夜空を任されていて、本当は管轄外なんだけどね。で、烏はいま何をしているの?』
女『何って、見ての通り酔っぱらってんのよ、悪い?』
男『そういうことを聞いたんじゃ… 相変わらず愛想が無いな。』
女『なに笑ってんのよ!』
男『その格好よく似合ってるよ。羽をまったく消して見せるなんてなかなかの技だね、まるでふつうの人間みたいだ… そろそろ戻るから、じゃあまた。』
『… 』
女『ふん、行っちまった… ふつうの人間みたい、か… 』
猫『いまの蝙蝠は友達?』
女『ああ、あたしの、初恋の相手だよ。あいつは知らない だろうけどね。ほら、もうすぐ家だよ猫ちゃん。 少しだけ飲みなおそうか?』
猫『にゃにゃ。』
女『(きっとあいつはお父さんに頼まれて様子を見にきたに違いない。家出してもう120年… いちど帰るか… でもお父さんは猫嫌いだし、どうしようかな )』